私たちは、日常生活の中でどのような動きをしているでしょうか。普段はあまり意識せずに動いていることが多いですが、「食事」「入浴」「トイレ」「着替え」「家事」「仕事」などのさまざまな動きをしています。この作業の中には、自分の趣味に関することや地域に貢献する活動のことも含まれます。
このような日常生活に関わる動きのことを「作業活動」と呼びます。しかし、何らかの疾患や後遺症により、これまで行っていた作業活動が出来なくなることがあります。その作業活動の改善に向けたリハビリを行うのが作業療法士の仕事なのです。
では、そんな私たちの生活に密着したリハビリを行う作業療法士の仕事についてご紹介していきます。ちなみに、作業療法士のことは略して「OT」と呼びます。
もくじ
中卒から作業療法士になるまでの道のり
作業療法士になるためには、作業療法士の国家資格を取得しなくてはいけません。そのため、国家試験を受けるために、専門的な知識を得られる大学や専門学校で3年~4年をかけて学んでいく必要があります。
つまり、中卒から作業療法士を目指す場合には、大学や専門学校に行くためにまずは高卒の資格を得ることが必要となります。
作業療法士の国家試験は難しいの?
作業療法士の国家試験は、毎年約5000人が受験していますが、毎年の合格率は80%を超えています。大学や専門学校へ無事に入学して、学校生活を頑張っていけば決して難しいものではありません。
ちなみに、学校では臨床教育や実習が行われるので、一つずつ課題をクリアしていけば、問題なく卒業することはできます。
作業療法士の仕事内容や就職について
作業療法士国家資格を取得すると、就職先は多岐にわたり病院や老人保健施設、また児童福祉施設なども対象となります。そして、リハビリ室や訓練室、もしくは患者さんのベットサイドでリハビリの仕事を行います。
作業療法士のリハビリは、体の動きについてのリハビリだけではなく、今現在ある能力を応用して日常生活をスムーズにするための動作の獲得、更に社会に適応するための能力を身につけるということです。具体的には、食事や料理、洗濯などの生活に関する訓練や、遊びや創作といった内容のリハビリを行っていきます。さらに、体のリハビリを行うと同時に、精神的な疾患に対するリハビリを行うことも作業療法士の大切な役割です。
そして作業療法士の魅力は、国家資格なので取得して就職すると専門職として安定して働くことが出来るという点です。医療従事者として、作業療法士はまだまだ人数が少なく、多くの求人があるため就職に困ることはありません。
特に、大きな病院ほど早い段階からリハビリの導入をして早期回復を目指しているので、作業療法士の活躍が求められているのが現実です。
作業療法士の収入や働き方について
作業療法士の年収は350~500万円程度となります。大きな病院に就職すると、年々基本給のアップが期待できますし、福利厚生が良いことも魅力です。また、働き方は基本的に日勤のみですし、リハビリ室の空いている時間にしかリハビリを行うことはないので、十分仕事をしやすい環境が整っています。
そして、仕事においては医師とも協力し合ってリハビリを進めていくため、専門職として自分の意見をしっかり反映させることもできます。患者さんにリハビリの効果が出て、回復に向かう姿を見ることはやりがいにも繋がるでしょう。
ただ、リハビリというのは、毎日の積み重ねです。容体の安定している患者さんは、土日を自主練で対応することができますが、術後などで作業療法士の力で動かしてあげることが必要な場合は土日出勤があることももちろんあります。
中卒から作業療法士になるには?のまとめ
中卒から作業療法士になるためには、まずは通信制高校や高卒認定試験などで高卒資格をとることがスタートです。これからの場合は多少時間がかかりますが、作業療法士は一度資格を取得すれば、ずっと第一線で活躍できる仕事です。
医療の専門職として魅力的な作業療法士、興味のある人はぜひ目指してみてはいかがでしょうか。