高卒認定試験とは、文部科学省が行っている国家試験であり、この試験の定められた科目に合格することで、「高卒と同レベルの学力がある」と認定してもらえる試験になります。
この試験の受験資格については、「中卒以上」となっており、多くの人が受験することができるようになっています。そして、試験合格後は、専門学校や短大・大学などの進学という道が開けるだけでなく、高卒程度の求人にも応募できる場合があり、将来の選択肢を大きく広げることが可能です。
このページでは、そんな高卒認定試験についての基本的なことを紹介していきます。
もくじ
高卒認定試験とは?主にどんな人が受験している試験なの?
高卒認定試験の正式名称は、「高等学校卒業程度認定試験」といいます。平成16年度までは大学入学資格検定(大検)と呼ばれていたものです。試験に合格すればあくまで「高卒程度」ということで、学歴そのものは高卒になるものではありませんが、進学や就職の幅が広がることもあり多くの方がチャレンジされています。
実際には、下記のような方が受験されることが多いです。
- 中学卒業後に高校に進学しなかった人
- 高校に進学したけれど様々な理由から中退してしまった人
- 全日制高校に在籍しているけれど辞めたい人
- 昔高校を卒業できなかったけれど改めて高卒を取りたいという社会人
その他、定時制高校や通信制高校といった単位制の高校においては、高卒認定試験の合格が高校を卒業するための単位の一部として認定してもらえる場合もあるため、その目的として受験する人もいます。
このように、さまざまな経歴の人が、それぞれの用途で利用しているのが高卒認定試験となっています。
受験資格や受験科目・合格点や難易度について
それでは、気になる試験に関する具体的な内容について紹介していきます。
受験資格について
受験資格は「中学校卒業以上」となります。
正式には、受験をしようとする試験の日が属する年度の終わりまでに満16歳以上になる人となっています。つまり、平成29年度試験でいうと、平成30年3月31日までに16歳以上になる人であれば受験が可能な試験となります。
ちなみに、この条件でもあることから全日制高校に在籍中の人でも受験することはもちろん可能です。
受験科目について
高卒認定試験に合格するには、各教科8科目以上の必修科目に合格する必要があります。表にすると下記のようになります。表の見方としては、各教科において「どの科目を必修として受けていく必要があるか」「どのように組み合わせる必要があるか」を確認してみて下さい。
教 科 | 試験科目 | 科目数 | 要件 |
---|---|---|---|
国語 | 国語 | 1 | 必修 |
地理歴史 | 世界史A | 1 | 2科目のうちいずれか1科目必修 |
世界史B | |||
日本史A | 1 | 4科目のうちいずれか1科目必修 | |
日本史B | |||
地理A | |||
地理B | |||
公民 | 現代社会 | 1 または 2 | 「現代社会」の1科目または「倫理」「政治・経済」2科目のうちいずれか1科目を必修 |
倫理 | |||
政治・経済 | |||
数学 | 数学 | 1 | 必修 |
理科 | 科学と人間生活 | 2 または 3 | 「科学と人間生活」1科目と、「物理基礎」「科学基礎」「生物基礎」「地学基礎」の4科目のうちいずれか1科目(合計2科目)を必修 もしくは、「物理基礎」「科学基礎」「生物基礎」「地学基礎」の4科目のうち3科目を必修 |
物理基礎 | |||
化学基礎 | |||
生物基礎 | |||
地学基礎 | |||
外国語 | 英語 | 1 | 必修 |
このように、必修科目を中心に自分が学びたいものを選んでいくような形となります。また、学習する科目数が多い気がするかもしれませんが、これらは決して一度に全ての科目に合格する必要はありません。自分のペース等に合わせて「科目合格」をして少しずつ取得していくことも可能なので、得意科目から取得していくなど作戦を練って最終的に合格を目指していくことも可能です。
ちなみに、出題形式は4択のマークシート方式となっています。
合格点や難易度について
高卒認定試験の合格点は、100点満点中40点程度が最低ラインといわれています。ただ、その時その時の試験で合格基準点は異なってきます。
そして、試験全体の合格率は40%程度となっています。この合格率だけ見ると難易度が高い試験ともいえますが、一部の科目合格率においては80%程度です。そのため、上記でも紹介したように、一度に全ての科目に合格しようとしなければそこまで難しい試験ではないともいえるでしょう。
ただし、数学などは計算が必要になりますし、理科もきちんと理解をしていなければ解けるものではありません。また、受験者の中には、高卒認定試験の予備校等で学び対策をとってきた人たちも多くいます。とにかく、勉強をせずには合格できるような試験ではありません。独学で試験に挑む場合でも、過去問等で時間をかけてしっかり対策を取っておくことが重要です。
高卒認定試験に合格するとできること
高卒認定試験に合格すると、進学や就職の選択肢が広くなります。そのため、ただ「役に立ちそうだから」というあいまいな理由だけで受験するのではなく、「その後どうしたいのか」「どのように役立てたいのか」ということを考えたうえでチャレンジするようにしていきましょう。
進学について
大学進学をはじめとして、専門学校や短大などの受験資格を得ることができます。高校を卒業していなくても、卒業した人と同等の立場で受験することができるというのは大きな強みです。また、中卒の状態から進学を目指す方法としては最短の方法となります。
就職について
中卒対象の求人は、高卒以上の求人に比べると、どうしても全体数が少ないため探すのが大変です。見つかったとしても、正社員でなかったり、正社員であっても労働条件が良くない場合が多い傾向にあります。それが、高卒認定試験に合格することで、中卒対象ではなく高卒以上の求人に応募できる場合も多くなります。
また、公務員試験で「高卒程度」のものに応募しても問題なく選考の対象としてもらえるようになるでしょう。(公務員試験は中卒でも受験資格そのものはありますが、中卒で合格するのはほぼ不可能と言っても過言ではありません)
資格取得について
高卒でないと受験することができない資格も受けられるようになります。実務経験等で学歴をカバーできる場合もありますが、実際に多くの資格が「高卒以上」でないと普通に受験することはできません。
また、国家資格の取得を目標とした専門学校への進学にも、ほとんどの場合が高卒であることが必要となってきます。
自分がなりたい資格を取得していくことにも高卒認定試験は大変役立つことになります。
高卒認定試験とは?受験資格や受験科目・合格点や難易度についてのまとめ
高卒認定試験の基本的なことについて紹介してきました。
簡単にまとめると、
- 文部科学省が行っている国家試験
- 高卒と同レベルの学力があると認定される
- 受験資格は中卒以上
- 必修科目の8科目以上に合格する必要がある
- 科目合格が可能なので一度に合格しなくてもいい
- 進学や就職、資格取得の選択肢が大きく広がる
と以上のようになります。
勉強すれば決して難しい試験ではないものの、しっかり勉強して対策をとっていく必要があります。学習が進めやすくておすすめなのは、高卒認定試験対策専門の「予備校」を利用することです。独学で学習を進めるのが苦手な人やプロの指導を受けて効率的に学習を進めていきたい方はぜひ利用することを考えてみて下さい。