現在通信制高校に在学している方やこれから通信制高校への進学を考えている方は、卒業後の進路がどうなるのだろうかと気になっている方も多いと思います。
ここでは、文部科学省によって調査された「学校基本調査」をもとに、卒業生の状況を紹介していきますが、このデータをみることで、ある程度は卒業生の傾向が理解できるようになります。ぜひ参考として下さい。
もちろん、自分の進路であるため、「将来◯◯の仕事に就きたい」「将来◯◯の会社で働きたい」と自分で考えて決めていき、その道に進んでいくことが重要です。通信制高校卒業後には、大学や専門学校、就職とさまざまな選択肢がありますが、自分の目標を叶えるための大きな手段として上手く利用していくようにしましょう。
もくじ
データからみる通信制高校卒業生の進路について
まずは、学校基本調査による2年度分の調査結果から状況を紹介していきます。
ちなみに、通信制高校は、「通信制」というだけあって進路の状況の報告をしていない人が大勢いるため、「その他」の割合がかなり高くなっていることを念頭に置いておくようにして下さい。このようになる理由としては、就職した場合や進学した場合に一応学校に対して報告を求めるものの、その報告の強制をしていないからです。そのため、進路の不明者が多く出てしまう、通信制高校ならではのデータとなっています。
大学等進学 | 17.5% |
専門学校等進学 | 22.7% |
就職 | 18.9% |
その他 | 40.9% |
大学等進学 | 16.8% |
専門学校等進学 | 23.3% |
就職 | 18.0% |
その他 | 41.9% |
上記のように、2年度ともほとんど同じような結果でした。大学や専門学校に進学した卒業生は約4割、そのまま就職した卒業生は約2割となっています。これに、「その他」の中で報告していない進学者や就職者がいるため、多少のズレが実際はあります。
では、データの項目について「進学」「就職」に分けて具体的なことを確認していきましょう。
進学について
大学と専門学校等の進学を合わせると、約4割の人が進学しています。この数字はある程度大きいものと捉えて良いでしょう。
その中でも特に目立つのが、得意なこと・極めたいこと・将来の就職に直結させたいことを専門に学ぶことができる専門学校への進学です。つまり、通信制高校の学生には、専門的な資格や知識を学び就職に生かせる専門学校への進学を考える学生が多い傾向にあるといえます。
大学への進学には、一般入試の他に、指定校推薦やAO入試などの推薦入試を利用して進学している学生も多くいます。
指定校推薦は、それぞれの高校に来ている推薦枠なので、あらかじめどんな大学から推薦枠がきているかを調べてみるのもいいでしょう。また、推薦入試では高校での成績や生活態度等が問われることが多いですが、通信制高校ではレポートやテストの結果が直接成績に反映されるため、普段の態度などは問われないことが多くなっています。そのため、効率的に良い成績をとることに集中して頑張れば、全日制高校より推薦してもらうことが可能になることも多いです。
一般入試の受験を考える場合には、通信制高校に用意されている大学受験コースなどに入るか、予備校などに通う方法がおすすめです。もちろん独学でも構いませんが、大学進学に向けた効率良い勉強方法をしていくためにも利用するのがいいでしょう。
就職について
通信制高校卒業生のうち、約2割の学生は就職している状況です。下記でも紹介していますが、全日制高校・定時制高校においても約2割となっており、実際のところ大きな違いはありません。
このことから、多くの高校生は高卒のまま働くという選択肢ではなく、大学や専門学校への進学をして学歴や専門的な知識をつけた上で就職することを考えているといえます。
全日制高校・定時制高校と通信制高校を比較するとどうなる?
参考として、全日制高校・定時制高校における卒業生のデータも紹介しておきます。
大学等進学 | 54.7% |
専門学校進学 | 21.7% |
就職 | 17.9% |
その他 | 5.7% |
大学等進学 | 54.5% |
専門学校進学 | 21.9% |
就職 | 17.7% |
その他 | 5.9% |
通信制高校と比べると、大学に進学する割合が5割以上を占めており、多いのが特徴としてあげられます。そして、専門学校への進学や就職についてはほとんど差がないような形となっています。このことから考えると、通信制高校から大学へ進学する割合は低いものの、専門学校や就職という進路を考える場合はほとんど変わらないということがいえます。
通信制高校卒業生の進路や進学状況についてのまとめ
通信制高校の卒業後の進路・進学状況について、文部科学省「学校基本調査」のデータを参考として紹介してきました。特に、進路における「割合」を中心に説明してきましたが、はっきりと言えることは通信制高校からでも問題なく大学や専門学校への進学、就職が出来るということです。
そして、自分の頑張り次第で「人生はどうにでも変えられる」ということも忘れないようにして下さい。通信制高校を卒業してからどのような職業・仕事に就きたいのかで進んでいく道は変わってきます。進学後に自分に合った道を見つけるのも悪くないですが、できるだけ明確な目標を持って行動していくようにしましょう。
<参考・データ引用サイト>文部科学省「学校基本調査」結果の概要